耳鼻と臨床
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症例報告
妊娠中に発覚した涙嚢原発扁平上皮癌の 1 例
竹村 隼也竹田 大樹折田 頼尚
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2024 年 70 巻 2 号 p. 101-107

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抄録

涙嚢原発悪性腫瘍はまれな疾患であり、初期症状は涙嚢炎に類似しており診断に苦慮することが多い。今回、われわれは涙嚢より発生し鼻腔に進展した扁平上皮癌を治療する経験を得たので報告する。症例は 30 歳のベトナム人女性で、初診時に妊娠 28 週であった。右鼻閉と鼻漏を主訴に来院し右鼻腔腫瘍を認め生検したところ扁平上皮癌の診断となった。妊娠中の若年女性であったため、産婦人科コンサルトを行い、妊娠 35 週に帝王切開で分娩をした。腫瘍は画像上眼窩内浸潤が疑われ、眼球摘出を含めた手術加療を第一に説明したが、本人の整容面での強い希望により化学放射線療法による保存的加療を行い、腫瘍は著明縮小を得たが残存した。化学放射線療法により著明縮小を得たことで、眼窩内容物は温存可能と判断し、眼球を温存する形で腫瘍切除術、および前額皮弁による再建術を行った。現在まで 1 年 11 カ月経過したが、再発・転移を認めていない。

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