耳鼻と臨床
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第11回嚥下研究会嚥下困難をきたした多発性筋炎の4例
森 敏裕福井 康二丘村 煕稲木 匠子
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1993 年 39 巻 2Supplement1 号 p. 351-356

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抄録
臨床経過・嚥下動態を異にした多発性筋炎・皮膚筋炎の4例を経験したので, 症例間の嚥下病態の相違を中心に報告した. 70歳, 79歳, 76歳の女性3症例は, 徐々に発症した嚥下困難以外の自覚症状に乏しく, 輪状咽頭筋の拡張障害と咽頭収縮筋群の筋力低下による嚥下障害であつた. いずれも輪状咽頭筋切断術などにより嚥下障害の改善がみられ患者の満足が得られた. 58歳男性例は, 四肢の筋痛・筋力低下自覚後, 急激に高度の嚥下痛と喉頭挙上障害による誤嚥を呈した. ステロイドの投与により嚥下困難感が軽減したので経過観察中である. 以上, 病態の異なる多発性筋炎・皮膚筋炎の4例を供覧し, 嚥下病態の理解に咽頭食道透視と嚥下圧測定の両者を総合することが有用であることを述べた.
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