抄録
PS-77音声機能検査装置を利用して, 嚥下機能, とくに嚥下第I期より第II期のbolus移行時の評価を行つた. 嚥下障害患者で嚥下を起こしやすい呼側相終期に嚥下を合わせる意味で, つまり発声後嚥下と指導するうえでは本装置すべてのチヤンネル指標 (とくに第3チヤンネルの呼気流率と第4チヤンネルの口腔内圧) が有意義であつた. 正常被験者32名にrapiddry swallowsをおこなわせ, その嚥下圧 (口腔内圧) と相互嚥下間時間を測定し正常値の目安とした. その結果, 相互嚥下間時間は平均3.0±0.8秒であり, これが4.0秒以上延長する者を要注意者とした. 口腔内圧に関しては本装置での測定で, 10cmH2O以下を要注意者とした. 実際に嚥下障害者と評価するには, 嚥下圧と嚥下間時間との両者の総合評価が重要であることが分かつた.