耳鼻と臨床
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[第18回頭頸部癌懇話会:口腔・中咽頭の拡大切除と機能再建-ライフワークを聞く-]中咽頭・亜部位複合切除
―嚥下能・調音能再建の工夫―
川端 一嘉鎌田 信悦高橋 久昭中溝 宗永苦瓜 知彦斉 日新
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キーワード: 中咽頭, 再建, 機能
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1994 年 40 巻 4Supplement2 号 p. 702-705

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抄録

中咽頭切除後の機能は, その切除範囲に大きく影響され, なかでも, 軟口蓋側の切除範囲による影響が最も大きい. 実際の再建では, 鼻咽腔閉鎖機能を維持することに重点がおかれ, 現在は腹直筋に代表されるような, ボリュームがあり, 術後の萎縮の少ない皮弁による再建が最も適していると考えられている. しかし, この皮弁も用いかたによつては十分な機能がえられない.
再建上の留意点としては, 側壁に適度のボリュームをもたせ, 鼻咽腔は狭くすること, そして残存舌の可動性をそこなわないことがあげられる. しかし, 単にボリュームのある皮弁で側壁を充填するだけで, 軟口蓋の切除端をそのままにすると, 切除端は, 瘢痕性に萎縮し鼻咽腔が大きく開いてしまう. 軟口蓋の再建は一般に必要ないと考えられているが, これを考えるとむしろしつかり再建したほうが術後機能は良好と考えられる.
再建材料としては腹直筋が最も適していると考えられる. ただ前腕皮弁も用い方では良好な機能を得られ, 再建材料としてけつして悪いものではない.

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