抄録
中耳炎および外耳炎に対するpazufloxacin (PZFX) の有効性と安全性を評価する目的で患者分離菌の感受性分布, 中耳粘膜などの組織内移行ならびに多施設統一プロトコールによる一般臨床試験を行い, 以下の結果を得た.
1. PZFX投与前に, 中耳炎および外耳炎患者より分離された全菌株100株に対する感受性分布はofloxacin (OFLX) に比べ2~4倍優れ, ciprofloxacin (CPFX) とほぼ同等であった.
2. PZFX経口投与後の中耳粘膜等組織内濃度は投与後2時間で12~3.6μg/gに達し, 対血清比 (平均) で2.38と良好な移行性を示した.
3, 臨床効果判定をなし得た中耳炎66例, 外耳炎22例に対する有効率は, それぞれ79% (52/66), 91% (20/22) であった.
4. 副作用は解析対象症例数103例中4例 (発現率; 3.9%) に認められ, その内訳は消化器症状3例, 発疹1例であった. また, 臨床検査値異常変動はGOT・GPTの上昇が1例に認められた.
以上の成績から, PZFXは中耳炎および外耳炎に対し有用性の高い薬剤と考えられた.