耳鼻と臨床
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[第2回頭頸部癌化学療法研究会]喉頭部分切除術の術後合併症について
藤井 隆佐藤 武男吉野 邦俊稲上 憲一長原 昌萬西谷 茂樹沖田 純
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1998 年 44 巻 4Supplement2 号 p. 588-595

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抄録
喉頭部分切除術の手術手技に対しては、種々の工夫はあるものの、基本的な手術手技は確立されているため、当科における適応・合併症について報告した。1. 喉頭垂直部分切除術: 声門癌T1、T2を適応としているが、これらの多くは根治照射の適応ともなるため、初回治療として施行された症例は全体の5%であった。根治照射の適応拡大に伴い、salvage手術としてのウェイトが増加してきたが、合併症として再建組織の脱落・萎縮・線維化などによる高度の嗄声や、甲状軟骨壊死がみられた。2. 喉頭水平部分切除術: CT検査による深部浸潤の評価を必須とし、T1と一部のT2、T3を適応としているが、年齢や全身状態などが考慮される。術後の問題は誤嚥であり、切除範囲が広い場合や頸部郭清術の併用により、嚥下練習に長期間を要した症例があった。両側頸部郭清術後では、披裂部の浮腫持続のため、カニューレの抜去に長期間を要した。
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