耳鼻と臨床
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鼻生理からみた加齢と鼻粘膜繊毛機能
許 庚中野 富夫佐々木 貞雄
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1999 年 45 巻 5 号 p. 464-468

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抄録
鼻生理学から加齢の鼻腔粘液繊毛機能、輸送速度 (nasal mucociliary transport rate: NMTR) に及ぼす影響を分析した。測定法として、その通過時間の有用性を検討した。さらに諸外国の成績とを対比して、NMTRの意義について述べた。1.113mIn-DTPAを標識剤として用い、γ写真 (gamma photography) と組み合わせ、ヒトの鼻粘膜の繊毛輸送機能を検査した。その結果は良好で標識の軌道図象も鮮明であった。2. 中国正常人の5-82歳にわたる140名のNMTRを測定した結果は平均8.1 (±3.1) mm/minであった。3. 正常人年齢別のNMTRには顕著な差異があり、11-40歳組は最も速い。5-10歳と41-50歳組はこれに次ぎ、51-82歳組は最も遅い。男女性別の差異を認めなかった。鼻生理学的に高齢化に応じてNMTRの活性化をさせるために、人々は鼻科医をしばしば訪れる必要性があろう。
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