抄録
同上症例においてスギ花粉の飛散期と非飛散期でのQOLの変動をSF-36調査表を用い検討した。全症例242名に対し6月末に調査表を郵送し、71.5% (173名) の回収率を得た。全体的には、非飛散期には症状の改善とともにQOLの改善もみられ、特に精神機能でその改善は著しかった。性別では女性での改善が著明で、非飛散期では精神機能に関係したサブ・スケールでは男女差が無くなる傾向がみられた。合併症でも、非飛散期にはほとんどのサブ・スケールでQOLスコアは上昇していたが、合併症を有する群のほうが常にQOLスコアは低かった。年齢では、29歳以下では非飛散期でかえってQOLスコアは低下する傾向がみられ、反対に高齢者ではQOLスコアは高値を示した。全体的には非飛散期にはQOLは改善するが、悪化する項目もあり、そのような因子を検討することがスギ花粉症患者の治療、経過を観察していくことに当たって重要であると思われた。