抄録
脳梗塞により嚥下障害を呈する患者は多く、予後を決定する重要な因子である。近年、画像診断の進歩により、急性期に責任病巣を明確に描出可能となり、発症機序に基づいた治療方針の決定が可能となった。嚥下障害に関しても早期に病態の評価を行い機能訓練を開始する必要がある。逆に障害部位や発症機序により嚥下動態の推測を行うには詳細な画像所見と嚥下動態との照合を要する。障害部位は大きく、核上性・核性嚥下障害に分けられる。さらに前者は皮質・皮質下型、基底核型および脳幹型の3型に分類が可能である。脳幹型の場合には孤束核・疑核への病巣の広がりにより重症度が異なるため、核性嚥下障害を含んでいるか判別する必要がある。