耳鼻と臨床
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顔面痙攣およびTTS現象で人工内耳が使えなかった髄膜炎後蝸牛内線維化例
中川 尚志野口 敦子大庭 典子中条 恭子賀数 康弘山本 智矢小宮山 荘太郎
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2004 年 50 巻 1 号 p. 11-17

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抄録
細菌性髄膜炎の後遺症として失聴が残った64歳女性に対して人工内耳手術を行った。術前検査で内耳機能廃絶の状態であった。髄膜炎発症後6カ月の画像では内耳リンパ液が見られた。失聴9カ月後、ニュクレウスN24 (R) を右耳に埋め込んだ。蝸牛内がすでに線維化、挿入が困難であった。基底回転を削開し、16電極を蝸牛内に留置した。その後、5チャンネルが使用不能となり、聴取能も不良であったため、反対の左耳に電極のこしが強いクラリオンS (R) の埋め込みを施行した。蝸牛内は線維化していたが、14電極挿入可能であった。しかし、刺激電荷量を大きくしないと音感覚が得られず、すべてのチャンネルで顔面痙攣が惹起された。一方、実際に音を入れてみると、顔面痙攣は我慢できても、TTS現象のために数秒後、音感覚が消失した。左耳では人工内耳埋め込みと髄膜炎の期間があき、その間に聴神経が障害されているものと考えた。
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