耳鼻と臨床
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小児滲出性中耳炎の予後に関する検討
松原 尚子稲光 まゆみ田中 俊一郎白土 秀樹平川 直也賀数 康弘小宗 静男
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2005 年 51 巻 5 号 p. 319-324

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抄録
小児滲出性中耳炎130名246耳に全麻下に鼓膜チューブ留置術を施行し、チューブ抜去後の経過を判定した。チューブは長期留置型を使用した。チューブの挿入時期、留置期間、アデノイド切除、鼓膜穿孔について検討した。チューブ抜去後半年以上経過した時点で、170耳 (69.1%) は治癒、51耳 (20.7%) は滲出性中耳炎の再発を含む鼓膜緊張部陥凹を来した。平均挿入期間は18カ月であり、鼓膜チューブを18カ月以上留置した症例で治癒率が高かったため、18カ月以上の留置が有効と思われた。アデノイド切除術を行った症例は切除を行わなかった症例より治癒率は高かったものの、アデノイド切除が滲出性中耳炎の予後に有効であるとはいえなかった。平均挿入年齢は5歳であり、発症後早期に発見され治療されている耳は治癒率が高いと思われた。鼓膜永久穿孔は23耳 (9.4%) にみられ、チューブの留置期間や挿入回数にかかわらず生じていたことが明らかになった。
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