耳鼻と臨床
Online ISSN : 2185-1034
Print ISSN : 0447-7227
ISSN-L : 0447-7227
性同一性障害に対する手術後音声障害の1例
目須田 康西澤 典子松村 道哉古田 康福田 諭
著者情報
ジャーナル フリー

2005 年 51 巻 5 号 p. 358-361

詳細
抄録

性同一性障害は過去8年の間に本邦にても診断・治療が施行されるようになったが、音声の変化を望む症例に対する治療、特にMTF (male to female) に対するピッチ上昇手術はこれまでガイドラインに明確な定義がされていなかったこともあり、本邦における報告は極めて少なく、手術を強く希望する場合海外の施設を訪れている例があると推測される。今回われわれは東南アジアの某国でピッチ上昇手術を受け、帰国後発声開始後に高度の気息性発声を呈した例を経験した。肉芽切除と各種保存的治療が施行されたが手術後約5カ月の時点で患者の満足は得られていない。今後本邦でも各地で性同一性障害で音声変更を望む例が出現すると予想されるため、ピッチ上昇手術の適応の検討、またこの問題における関係各科との連携の重要性について改めて認識することが必要であると考えられた。

著者関連情報
© 耳鼻と臨床会
前の記事 次の記事
feedback
Top