耳鼻と臨床
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[第31回日本嚥下医学会]甲状腺中毒性ミオパチーによる嚥下障害の1例
西村 立藤島 一郎稲垣 倫子片桐 伯真黒田 百合佐藤 友里橋本 育子重松 孝
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2008 年 54 巻 6Supplement2 号 p. S135-S139

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抄録

甲状腺中毒性ミオパチーにより嚥下障害を呈した症例を経験した。症例は56歳,女性。2007年9月に突然の呼吸停止,心室細動に対して挿管,蘇生措置が行われ,入院加療された。検査によりバセドウ病と確定診断された。抜管後ミキサー食の摂食が開始されたが,誤嚥性肺炎で絶飲食となり,その後リハビリテーション科による嚥下障害の治療が開始された。検査より甲状腺中毒性ミオパチーが原因の嚥下障害と考えられた。嚥下造影を施行し,咽頭収縮,食道入口部開大不良のため食塊は食道入口部を通過困難で残留した。その場でバルーン法を行い,左梨状窩から食道入口部の通過で改善があり即時効果を認めた。その後バルーン訓練,摂食訓練を継続し,最終的に普通食摂食可能となった。甲状腺中毒性ミオパチーによる嚥下障害に対してバルーン訓練は初めて行ったが,有用であると考えられた。

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