日本耳鼻咽喉科学会会報
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原著
副耳下腺腫瘍の臨床的検討
井口 広義和田 匡史山本 秀文山田 佳松下 直樹岡本 幸美寺西 裕一神田 裕樹小杉 祐季山根 英雄
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2013 年 116 巻 12 号 p. 1300-1307

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抄録
副耳下腺に発生する腫瘍は比較的まれで, 一施設では症例数に限りがあるため十分な臨床的検討は困難である. そこで, われわれが近年経験した副耳下腺腫瘍の4例を含め, 本邦における副耳下腺腫瘍に関する報告例を合わせた65例 (男性29例, 女性36例; 年齢9歳から81歳: 中央値51歳) について臨床的検討を行った.
治療は約半数が耳鼻咽喉科で行われていたが, 形成外科, 歯科口腔外科, 皮膚科でも行われていた. 術前穿刺吸引細胞診 (施行率33.3%) が良性にもかかわらず, 術後病理組織が悪性であったものが4例 (うち3例は粘表皮癌) あった. 術後病理組織は悪性腫瘍29例 (44.6%), 良性腫瘍36例 (55.4%) で, 悪性腫瘍では粘表皮癌が, 良性腫瘍では多形腺腫が最多であった. 本邦においては副耳下腺腫瘍へのアプローチはS状切開が最も良いとする文献が多いが, 他のアプローチも含め, それぞれの長所と短所を把握した上で選択する必要がある. 副耳下腺悪性腫瘍に対する頸部郭清術および術後照射の必要性に関しては議論がある. 文献的には, 腫瘍切除+ (予防的頸部郭清術+) 術後照射が行われる場合が多いが, 今後, 必要性のある症例選択基準の検討が求められる.
副耳下腺腫瘍は耳下腺腫瘍に比べ悪性の比率が高いことから, たとえ術前穿刺吸引細胞診の結果が良性であっても, 常に悪性腫瘍 (特に粘表皮癌や多形腺腫由来癌) の可能性を念頭に置き手術に臨む必要がある.
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© 2013 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
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