抄録
嗅神経芽細胞腫は嗅粘膜上皮由来の悪性腫瘍であり, 発生頻度の低さから本邦からの多数例の報告はない. 1992年から2012年までに当科において治療を行った嗅神経芽細胞腫14例, 1990年から2013年5月までに報告された本邦症例104例について, 治療法と再発形式, 予後を検討した. 当科では前頭蓋底切除を伴う手術に術後照射を加えることを基本としており, 手術施行例の4年粗生存率は89%と良好な治療成績が得られた. 手術非施行例では局所制御のできない症例が多く, 予後不良であった. 本邦症例では手術, 放射線照射を含む集学的治療が行われている症例が多く, 手術施行例の3年生存率は85%, 手術非施行例では73%であった. しかし, 手術施行例の59%に再発を認め, その多くは局所再発であった. 予後を規定する因子としては, 手術施行の有無, 病理学的 grade, 臨床病期が挙げられる. 近年, 内視鏡的切除が広まりつつあるが, 追跡期間の短い症例が多く, その有用性に関しては今後の検討課題である.