日本耳鼻咽喉科学会会報
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原著
Sino-Nasal Outcome Test (SNOT-22) 日本語版の信頼性・妥当性・治療反応性の検討
荻野 枝里子廣芝 新也岩永 迪孝
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2017 年 120 巻 9 号 p. 1155-1164

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抄録

 鼻副鼻腔炎に対する治療効果を評価する際の QOL 調査票として, 海外では Sino-Nasal Outcome Test (SNOT-22) を用いた研究報告が多くみられ, 異言語, 異文化間妥当性があるとされている. われわれは SNOT-22 の日本語版を作成し, これを当院で行っている内視鏡下副鼻腔手術 (ESS) の前後での自覚症状・QOL 調査に用い, 調査票としての信頼性, 妥当性, 治療反応性に関する検討を行った. 対象は当院で ESS 施行前に SNOT-22 を行った患者97名と健常者22名とし, 内部整合性, 再現性, 判別有効性, 治療反応性, 臨床解釈可能性につき解析した. 結果, Cronbach's α 係数は0.86と高い内部整合性を示した. 再テスト法による級内相関係数は0.82であり, 再現性を確認した. 患者97名の術前総スコアは37.5±17.2 (平均±SD), 健常者は6.5±5.8であり, 判別有効性を認めた. ESS 施行前後の両時期に調査を施行した85名の総スコアは術前36.0±16.1から術後11.7±11.6と変化し, 治療反応性を認めた. 臨床解釈可能性の指標である「臨床における最小重要差 (MID)」は15.7であった. これらの結果より, SNOT-22 日本語版は鼻副鼻腔炎に関する自覚症状・QOL 調査票として信頼性, 妥当性, 治療反応性を持つことが示された.

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© 2017 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
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