2020 年 123 巻 11 号 p. 1298-1303
TIPIC syndrome は, 頸動脈周囲の一過性の炎症が原因となり頸部痛を来すまれな疾患である. これは以前から carotidynia として扱われてきた疾患であるが, 近年ではその画像所見に関する報告が増えたことで徐々に病態が解明され, 診断基準とともに名称を変えつつある. 今回われわれは, TIPIC syndrome の2例を経験した. 2症例とも特徴的な頸部圧痛 (Fay 徴候) を認め, 超音波検査と造影 CT 検査にて患側の総頸動脈遠位部に全周性の軟部組織陰影を認めた. いずれも NSAIDs の内服で経過観察をしたところ, 1週間後に症状は軽快した. 今回, これらの症例について文献的考察を加え検討した.