2019 年 123 巻 3 号 p. 243-250
女性医師の比率が増えている近年, 女性医師の就労率の維持は大きな課題である. 大阪大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科学教室での男女共同参画についての取り組みの一つとして, 所属する医師に意識調査を行った結果を報告する. 女性医師としての悩みとして育児, 家庭, 介護と仕事との両立を多くの医師が挙げていた. キャリアチェンジを考えるきっかけとして出産, 子供の就学や受験という回答が多く見られた. 女性医師が仕事を続けていく上で, 出産育児というライフイベントが大きな影響を及ぼしている実態が浮き彫りとなった. 女性医師の就労率維持には出産育児時期の支援を社会全体で考えていく必要がある. 男女とも育児中の女性医師に対する理解は進んできていることも明らかになった. また管理職, 教職を希望する女性医師は少なく, 女性医師の意識改革の必要性も課題として浮き上がった. すべての医師の就労環境改善のためにも引き続き男女共同参画について取り組んでいかなければならない.