2020 年 123 巻 7 号 p. 553-556
嗅覚障害は日常生活での危険を生じさせたり, 良いにおいを感じる幸せを消失させたりして, Quality of life に強く影響する疾患である. また, 耳鼻咽喉科外来においても嗅覚障害を主訴に受診する患者は少なくなく, 臨床上重要な疾患である. しかし, 嗅覚障害のメカニズムに関してはいまだに分かっていないことも多く, 診断法や治療法についても施設によってさまざまである. そしてこういった事情を克服するといった理由も含め, 近年嗅覚障害診療ガイドラインが日本鼻科学会より発刊された. また嗅覚障害に対する発症機序の解明や新規治療法の開発といった目的にて, 嗅覚障害に関する研究も進んでいる. 以上を踏まえ, 本稿では嗅覚障害診療ガイドラインと嗅覚障害に対する最近の研究と知見について概説する.