日本耳鼻咽喉科学会会報
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下咽頭進行癌に対するCF療法による放射線化学療法の効果について
遠藤 壮平鈴木 伸辻 賢三野村 泰之野口 雄五木田 亮紀斉藤 勉田中 良明
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2005 年 108 巻 10 号 p. 980-985

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抄録

進行下咽頭癌の放射線化学療法の効果について検討した. 対象は1993年12月より2001年12月までに治療が開始されたstage III以上の未治療進行下咽頭癌39例である. 内訳は, 男性37例, 女性2例, stage III3例, stageIVA31例, stage IVB5例, T11例, T27例, T33例, T428例である. 治療として通常の放射線療法に原則としてシスプラチン80-100mg/m2とそれに引き続く5-FU800-1000mg/m2×5日間の化学療法を同時併用した. 可能症例は化学療法を2回施行した. 1999年までは50Gyの放射線後に根治手術を施行した. 手術検体で55% (11/20) に原発巣の消失を認めたので, 2000年からは生検もしくはCTで残存が確認された症例のみに根治術を行うようにした. また, 2001年からは30Gy照射後に1週間の休止期間をおいて放射線開始と共に2回目の化学療法を施行するようにした. 全体の局所CR率は59%であり, T因子別のCR率はT1, T2, T3, T4それぞれで100, 86, 67, 50%であった. 化学療法2回施行例は1回施行例に比較して有意に局所CR率が高かった (P=0.0371). 2000年以降の9例中根治切除を要したのは2例であり, 残り2例が局所再発して根治術を施行し, 治療にかかわらず死亡した2例を除く3例で喉頭温存が可能であった. 副作用として1例が誤嚥性肺炎で死亡し, 38%にgrade3-4の白血球減少症が認められた. 5年死因特異的, 粗生存率は各々57, 51%であり, 適応を慎重に選べば臓器温存率, 生存率延長が期待できる治療と考えられた.

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