日本耳鼻咽喉科学会会報
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原発不明頸部リンパ節転移症例の検討
伊地知 圭長谷川 泰久小川 徹也寺田 聡広兵藤 伊久夫山田 裕子村上 信五
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2005 年 108 巻 11 号 p. 1083-1090

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抄録
1985年から2002年までに愛知県がんセンター頭頸部外科を受診した原発不明頸部リンパ節転移症例36例について検討した.
初診時原発不明であった症例は56例であり, そのうち治療開始までに原発不明であった症例を対象とした. また, 治療開始後に原発巣が判明した症例が11例であった.
Random Biopsyを施行したのは56例中35例 (62.5%) であった. そのうち35例中5例 (14.3%) にて原発巣が判明した.
初期治療として頸部郭清術を施行した症例は36例中24例 (61.5%) であった.
治療開始後に原発巣が判明した症例について, 判明した原発部位は中咽頭が最も多かった.
治療開始時に原発不明であり, 1年以上経過が明らかな31例についてKaplan-Meyer法にて生存率を検討した. 粗生存率は63.7%, 疾患特異生存率は69.2%, 無病生存率は46.8%であった. N分類, 組織型, 原発判明の有無, 頸部郭清術施行の有無, 化療施行の有無, 放財線照射施行の有無について生存率を検討したが, 有意差が見られたのは頸部郭清術施行の有無であった.
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