日本耳鼻咽喉科学会会報
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鼻副鼻腔嚢胞疾患における超音波診断
塩野 博己北原 伸郎飯沼 壽孝
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1988 年 91 巻 7 号 p. 1042-1048

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抄録

1) 副鼻腔嚢胞疾患のA,B-モード法による超音波像とX像,CT像とを比較した.
2) 術後性上顎嚢胞の超音波画像の特徴は(1) 上顎洞前壁の不連続または欠損像,(2) 嚢胞像は類円形,(3) 内部エコーは無~低エコーで均一,(4) 嚢胞底面,後壁は皮膚より3~4cmのところにある,などである.診断率は約80%である.
3) 前頭洞嚢胞の超音波画像では術後性で前壁骨欠損があるものでは術後性上顎嚢胞像と同様であり皮膚より3cm以内に嚢胞底面,後壁像がある.
4) 篩骨および蝶形骨洞嚢胞の超音波画像では,嚢胞内側は空気のため描写されないが外側は嚢胞の眼窩内圧排による眼窩内エコーの部分的欠損所見をみる.深部の嚢胞は描写されにくいため経眼窩的なスキャンがよい.
5) 超音波検査は副鼻腔嚢胞性疾患の補助的診断法として有用である.

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