日本耳鼻咽喉科学会会報
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重度の内臓奇形を持つ新生児の側頭骨病理所見
小山 悟飯野 ゆき子大蔵 眞一加我 君孝大平 泰行小川 恵弘
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1996 年 99 巻 8 号 p. 1079-1084,1153

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抄録
いわゆる奇形症候群ではしばしば難聴を伴うことが知られている. しかし, 種々の奇形を有するものでも, 既知の奇形症候群に分類されていないものもあり, それらにおける耳科学的評価は不明な点が多い. 今回われわれは重症な内臓奇形を有するものの, 骨系統疾患・染色体異常・先天性代謝異常など特定の先天異常症や奇形症候群には分類されなかった6例11耳の側頭骨病理組織を観察した. その結果, 内耳, 中耳を中心とした外・中胚葉性由来の異常が認められた. 内耳の異常は半規管の形成不全がもっとも多く認められ, 中耳の異常は顔面神経の走行異常が多く認められた. また重症内臓奇形に耳介, 顎口蓋の異常が合併することで, 聴覚, 前庭系の異常を伴う危険性が増加することも推察された.
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