2022 年 125 巻 6 号 p. 1014-1020
浸潤型副鼻腔真菌症は, 浸潤部位に応じ多彩な症状を呈する予後不良疾患である. 本研究では, 眼窩尖端部病変を伴った蝶形骨洞原発の浸潤型副鼻腔真菌症4例の臨床像を報告する. 年齢は70~84歳で男性2例, 女性2例であった. CT では全例骨破壊像を伴い, 3例に石灰化を伴う真菌塊陰影を認めたが, 1例は軟部陰影のみであった. 起炎菌は全例でアスペルギルスが検出された. 眼窩尖端部から頭蓋内へ浸潤した2例は治癒した一方, 斜台へ浸潤し Central skull base osteomyelitis 様の臨床像を呈した1例は感染コントロール不良であった. 斜台浸潤が予後不良のリスク因子となる可能性が示唆された.