日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会会報
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総説
頸部郭清術―How I do it―解剖学的変異を中心に
山内 盛泰
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2023 年 126 巻 10 号 p. 1107-1111

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抄録

 頸部郭清術は頭頸部癌治療において重要な手術手技である. 適切なコンセプト, 基本操作を習得すれば全ての頭頸部外科医が行うことができる確立された術式であるが, 必要とされる知識は多岐にわたる. 手術に臨む前には解剖や手技のポイントを頭に入れて, 十分なイメージトレーニングを行うことが重要である. しかし実際の手術に際しては, ある程度のスピードも要求されるのが現実である. 十分な知識や準備があっても, あまりにも時間をかけすぎると途中で指導医に取り上げられてしまうこともあり, 経験するチャンスを逃すことにもつながってしまう. そのため手術スピードを上げられるポイントについての知識も押さえておく必要がある. ただし, その場合にもまれに存在する解剖学的変異 (個体差) についても意識しておかないと, 思わぬ血管や神経の損傷を来してしまう危険性があり, 正常解剖だけでなく解剖学的変異に関する知識も重要である. 本講演ではこれから頸部郭清術を習得しようとしている若い頭頸部外科医を対象に, 安全にスピードを上げられるポイントと, 注意を要する解剖学的変異を中心に知識を整理したいと思う.

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© 2023 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
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