2023 年 126 巻 3 号 p. 181-184
頭頸部外科領域にロボット手術が保険適応となり, 耳鼻咽喉科医にとってもロボット手術は身近な存在となってきた. しかし泌尿器・消化器領域で発展してきた手術ロボットを, そのまま耳や鼻の手術に応用することはまだ難しい.
私達は経外耳道的内視鏡下耳科手術 (Trans-canal Endoscopic Ear Surgery : TEES) を支援するロボットの研究・開発を複数の大学の工学部と共同で行っている. 手術ロボットの研究を通して, 自分たちの手術の特徴や問題点を改めて見直す機会が得られている. 本稿では, これまでの耳科手術用ロボットや内視鏡保持ロボットについて概略を述べ, 現在研究中の TEES 支援ロボットのコンセプトと試作機について述べる. また, 将来ロボット自身が自律的に手術を行うことを目標とした, ロボットの自律レベル向上に向けた研究についても紹介する.