1) 標準的発育をなす上顎洞を有する成人478例, 片側にのみ狭小上顎洞を有する成人20例, 両側に狭小上顎洞を有する48例のウォータース位によるX線写真を用いて眼窩下壁前部の凹状面の位置 (深さ) を計測した.
2) 狭小上顎洞では標準的上顎洞と比較して眼窩下壁の凹状面が下垂 (低位をとる) していることが統計的に有意の差をもって証明された.
3) 16歳以下の小児および幼児の108例につき同様の計測を行って, 眼窩が早期に完成することを再認した.
4) 眼窩下壁が, 系統発生, 個体発生, 組織学的構造などの点から順応性の多い不安定な構造であることを考按した.
5) 小眼症, 大脳萎縮などの症例にみる副鼻腔の代償性拡大につき文献的検討を行った.
6) 上顎洞の意義について上顎骨の機能区分との関連において検討した.