抄録
BSR波形を正常パターンと異常パターンとに分けて検討してみた. 正常聴力を有する人のBSRにもいくつかの variation を認めるが, ほぼ全例で第1波, 第3波と第5波がみられた. 末梢性の聴力障害者でも, 聴力損失が高度でないかぎり, 第5波は記録できた. 一方, 脳幹障害の33名のBSRは, (1) 第5波の潜時が延長するもの, (2) 第5波が不明瞭のもの, とに大別された. BSR検査を脳幹障害の診断に応用するに当って, 第5波の潜時並びにその存在の有無をチェックすることが重要な所見であると考えた.