耳鼻咽喉科臨床
Online ISSN : 1884-4545
Print ISSN : 0032-6313
ISSN-L : 0032-6313
中枢性筋緊張弛緩剤 Muscalm のめまいに対する治療効果; 頭頸部外傷25症例における検討
中西 和仁桧 学伊藤 信輔多田 豊安立 良治
著者情報
ジャーナル フリー

1979 年 72 巻 5 号 p. 653-663

詳細
抄録
頭頸部外傷例の中で, 頸部または腰部痛を有し, これがめまい・平衡失調の原因をなしていると考えられる症例に, Muscalm を投与し, 次の事実を知った. (1) Muscalm は四肢のしびれ感をのぞいて種々の愁訴に有効に作用することがわかった. その中でも, 悪心, 嘔吐, 頸部・項部痛, 頭重感, 頸部及び肩凝り, めまい, 四肢の振戦, 頭痛, 腰部痛などの愁訴には有効であった. なお, めまい愁訴の好転は平衡機能異常の改善と大略平行した. (2) 頸部・腰部痛とめまい・平衡失調の変動のあいだには正相関がみられた.
この成績を基として, 次の考えを述べた. 頭頸部外傷例にみられる各愁訴, とくにめまい・平衡失調や自律神経症状に対して本薬剤が有効に作用するのは, (1) 本薬剤が頸部・腰部深部受容器と関係のあるγ系の活動性を是正し, その部の深部受容器の活動性充進が正常化する. (2) かくして, これに対応する中枢機構 (視床下部, 脳幹, 小脳) の機能の改善がもたらされた故と考えられる.
著者関連情報
© 耳鼻咽喉科臨学会
前の記事 次の記事
feedback
Top