1979 年 72 巻 8 号 p. 1007-1012
眼窩より篩骨眼窩板を破壊し, 篩骨洞に浸潤した炎症性偽腫瘍の一例を報告した. 29才, 男, 眼球突出, 複視, 眼瞼下垂等で発症し, 急速に左盲となる. 耳鼻科にて経上顎洞的に試験切除したが肉芽組織との診断を得た. これは臨床的所見と合わせて, 眼窩内炎症性偽腫瘍と解釈されるものであったろう. 最終的には眼科での腫瘍の減荷手術の際の摘出標本からの病理組織診により眼窩内炎症性偽腫瘍の診断を得た. ステロイド, 抗生物質, 減荷手術を行って有効であったが, 左盲は改善されなかった.