耳鼻咽喉科臨床
Online ISSN : 1884-4545
Print ISSN : 0032-6313
ISSN-L : 0032-6313
メニエール病患者の重心動揺におよぼす視運動刺激の影響
田口 喜一郎
著者情報
ジャーナル フリー

1980 年 73 巻 11special 号 p. 1879-1892

詳細
抄録

メニエール病患者20名を対象として, 等速視運動刺激の重心動揺におよぼす影響について. 小型コンピュータを使用して分析し, 次の成績を得た.
1 重心動揺軌跡
メニエール病患者の視運動刺激による軌跡型として3型が得られた. すなわち求心型. 左右動揺型および前後動揺型である. 両側メニエール病は前後動揺型を示した.
2 重心動揺軌跡距離
2分間起立時の重心動揺軌跡距離は, 視運動刺激の負荷により増大するが. 視運動刺激の速度との関係は, 前後動揺型を除いて. やや不規則であった.
3 重心動揺のY軸・X軸成分比
求心型および左右動揺型では, 水平方向刺激で1.0より小さな値を示し, 垂直方向刺激で1.0より大きな値を示したが, 前後動揺型では水平. 垂直方向刺激共にこの値の増大をみた.
4 重心位置の変動
重心位置の変動様式は, 軌跡型によって大きな差を示し, 正常者にみられる標準2相性移動を示すものは少なかった.
5 重心動揺周波数
重心動揺周波数スペクトルは, 視運動揺激によって1Hz以下で主要な変動を示した. てれを1Hz以下の平均周波数として表示すると. X軸成分では求心型で増大, 左右動揺型で減少を示し, 前後動揺型で無変動であった. Y軸成分では求心型で垂直方向刺激で増大, 左右動揺型で左刺激で減少, また前後動揺型で全方向刺激に対して減少傾向を示した.

著者関連情報
© 耳鼻咽喉科臨学会
前の記事 次の記事
feedback
Top