耳鼻咽喉科臨床
Online ISSN : 1884-4545
Print ISSN : 0032-6313
ISSN-L : 0032-6313
コンピューター回転検査の臨床的検討
冨岡 昌
著者情報
ジャーナル フリー

1984 年 77 巻 1 号 p. 109-119

詳細
抄録

R-Chair 回転検査を施行し得た48例の臨床的検討から次のことが判明した.
1) 前庭眼反射系に障害がある症例では, 位相差曲線に異常を示した. 回転周波数が0.01~0.08Hzの範囲で位相差曲線が異常であったのは, 小脳橋角部腫瘍, 迷路摘出例, メニエル病発作期であった. 回転周波数が0.01~0.02Hzの範囲で位相差曲線に異常がみられたのは, メニエル病間歇期, 慢性中耳炎, 良性発作性頭位眩暈, 心因性めまいであった. 位相差曲線からは病態の経過に対応するような経時的変化はほとんどみられない.
2) 迷路優位性は, 自覚症状とほぼ一致して変動を示した. 回転周波数が大きい程, 迷路優位性の値は早期に正常に近ずくが, 0.01Hzという低周波回転では, 自覚症状が消退した後もかなり長期にわたって異常値を示した.
3) R-Chair は, 左右の統合された迷路の機能状態を把握するのに有力であるが, 曲線のパターンから診断を下すことはできない.

著者関連情報
© 耳鼻咽喉科臨学会
前の記事 次の記事
feedback
Top