耳鼻咽喉科臨床
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家兎舌乳頭の再生に関する走査電顕的研究 第3編
村上 譲
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1984 年 77 巻 1 号 p. 121-136

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抄録

8規定水酸化カリウム水溶液を用いた, 家兎舌の腐蝕実験 (1秒間腐蝕, 5秒間腐蝕及び10秒間腐蝕の3群に分けた) を行ない, 家兎舌乳頭の再生過程を, 主に走査型電子顕微鏡を用いて観察し, 次のごとき知見を得た.
1) 腐蝕の深達度が深ければ深いほど, 舌乳頭の再生は遷延した.
2) 腐蝕の深達度にかかわらず, 茸状乳頭はほぼ正常形態に再生した.
3) 舌の腐蝕が筋層の深部にまで及ぶ場合, 再生した糸状乳頭は大小不同で, その傾きも規則性を欠いていた. また, その先端が2~3に分枝したものも見られた.
4) 糸状乳頭の再生が茸状乳頭の再生に先行して行なわれた.
5) 再生早期の茸状乳頭は小さく, その乳頭表面は, 周囲の鞘状構造より低い位置に存在した.
6) 茸状乳頭の再生過程がすすむにつれて, 乳頭表面の直径は増大し, また乳頭表面の隆起傾向も見られた.
7) 茸状乳頭の再生には, 神経要素が密接に関係していると考えられた.

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