1985 年 78 巻 1 号 p. 109-121
i)〔1-14C〕glucose よりの14CO2転化についての実験から, 蝸牛, 腎, 肝において, glucose よりCO2への転化, 換言すれば糖代謝エネルギー系がFURにより濃度依存性に抑制されることが判明した.
ii) 組織化学的研究により, この抑制の少なくとも一つは, GAPDHであり, すべての臓器において, 本酵素は阻害されるが, 肝は, 蝸牛, 腎に比べ, 経時的恢復が敏速であることが判明した. これらの現象によりFURによる選択的臓器障害性 (腎および蝸牛) がある程度説明できると考えた.
iii) 以上より, エネルギー産生系, ことにGAPDHの部位における glycolysis の阻害はFURの耳毒性発現に深い関連をもつものと考えられる.