抄録
慢性副鼻腔炎 (副鼻炎), 鼻アレルギー (鼻ア) の病態解明の一端として, 血清, 組織, 鼻汁中の可溶性蛋白結合シアル酸およびフコースの定量をチオバルビツール酸法, システイン硫酸法を用いてそれぞれ行い, 以下の結果を得た.
1. 血清中シアル酸は副鼻炎, 鼻ア症例ともに正常者と有意差はなく, フコース値は副鼻炎, 鼻ア症例の順で有意に高値を示した. また副鼻炎患者レ線所見の程度, および鼻茸の有無と血清中フコース値との間には高い相関関係が認められた.
2. 副鼻炎上顎洞粘膜, 鼻茸中のシアル酸は, 肥厚性鼻炎下甲介および鼻ア下甲介のそれに比して有意に高値, もしくは高い傾向がみられた.
3. 副鼻炎鼻汁と上顎洞内貯留液中のシアル酸, フコースは, ともに鼻ア鼻汁のそれに比し高値をしめした.