2014 年 13 巻 p. 69-74
東ティモール国で開発された新しい稲栽培法をケニア国ムウェア灌漑計画地区で試行した。星川により概念確立された乳苗を、松島により開発された投げ植え移植法により田植えする栽培法である。形態的には直播と移植の折衷案に近く、従ってHybrid Method of Rice Cultivation (HYMERIC) と命名された。現地調達可能な籾殻燻炭等の資材を使用し、苗作り・田植え労力を大幅に削減でき、最大の有効分げつ数確保が容易であるため低コスト・高収量が期待できる点が同法の特徴である。2010年小雨期期、陸稲ネリカ品種を使用しHYMERICが試行された。結果は通常代掻き法により6,000 kg ha–1、経済規模における同法により6,160 kg ha–1、不耕起栽培により7,333 kg ha–1が得られた。この全刈り収量の他、三斜線法により各プロットから4サンプルが収穫され、統計分析の結果、平米当たりの株数と収量の間には高い正の相関関係が立証され、回帰曲線が得られた。