農学国際協力
Online ISSN : 2436-2786
Print ISSN : 1347-5096
総 説
人類の食の特徴と食と農業の現代的課題食料問題の本質を考える
山根 裕子
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2020 年 18 巻 p. 2-17

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抄録

世界の人口増加に伴って将来的に深刻な食料不足が起こると予測されている。この食糧問題への対策として、食料の増産が解決策の一つとして説かれ、途上国の農業を対象としては増産を目的とした農業技術支援が行われている。しかし、量の確保だけを目的とした対策だけでは、持続的な食のシステムの構築には結びつかないと考えられる。本稿では人類の食の本質と近代化に伴い大きく変化した生産から消費までの仕組みに関する知見を整理し、食料問題の本質的な解決に向けて必要な事柄を考察する。本来人類の食は雑食性という食性の元、肉食から菜食までと多様で、近代化が進んでいない社会では、それぞれの地域の環境の元、幅広い動植物が食料として利用されてきた。その調達や生産に在地の技術と文化などの社会の仕組みが伴っており、先進国のそれとは大きく異なる。それぞれの社会の現状にあった対策を持続的な方向で考え、適切に対処する必要があると考えられる。

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