日本エネルギー学会誌
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特集:JCREN II (ノート)
Environmental Impacts Analysis of Stationary Fuel Cell Combined Heat and Power Generation Systems
Shota TOCHIGI Kiyoshi DOWAKI
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2021 年 100 巻 10 号 p. 200-205

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抄録

近年,我が国をはじめ,家庭用定置型燃料電池システムがその省エネルギー性や環境性から普及しつつある。このような状況に伴い国際電気標準会議技術委員会105分科会14(IEC/TC105/WG14)において,ライフサイクルアセスメント(LCA)手法による定置用燃料電池システムの環境影響評価手法が提案され技術仕様書が発行された。本研究では,このIEC/TC105/WG14にて提案された技術仕様書に基づき,現在,我が国で主に導入されている出力700 Wの固体高分子形燃料電池コージェネレーションシステム(PEFC-CGS)について環境影響評価を実施した。評価は技術仕様書に基づき,運転性能だけでなく,環境影響指標の1つである非生物資源枯渇(ADP)による機器の差別化の可能性を,運転性能と環境性の相互関係を考慮しつつ定量的に検討することが主な目的である。この結果,回路基板に含まれる金(Au)やセルスタックに含まれる白金(Pt)等の希少金属の使用量,及び水素製造パスの違いを考慮した環境負荷の要因が明らかになった。また,これらの金属使用量と運転性能との相互関係を明らかにし,セルの電極製造法に起因するセル性能の差異を反映させた環境影響評価を行った。その結果,同じ運転性能の下,多層構造の触媒層を用いた電極はPEFC-CGS製造時のADPにおいて6%~12%の低減が見出され,運転性能との相互関係に基づき製造手法による差別化が図れることが示唆された。

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© 2021 The Japan Institute of Energy
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