日本エネルギー学会誌
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特集:バイオマス(論文)
スギペレットを燃料とした固気上向き並流型移動層ガス化炉におけるクリンカの生成挙動の解明
佐藤 龍磨角間 隆司藤元 祐輔尾形 直亮籔内 一博二宮 善彦 堀尾 正靭
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2021 年 100 巻 10 号 p. 236-244

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抄録

ガス化炉に発生するクリンカの特徴ならびにその生成挙動の解明について,原料のスギ材およびガス化炉から採取したクリンカ試料の分析を行い,ガス化炉内におけるクリンカ生成挙動を検討した。その結果,ガス化炉で発生するクリンカはLime,CaCO3,K2CO3,KAlO2,Larniteなどの化合物で,CaCO3-K2CO3系の融液が無機物を取り込んで成長した塊であることを明らかにした。原料として使用したスギ材の酸化雰囲気での灰の軟化点(DT)は1300℃以上であったが,還元雰囲気(CO 60%-CO2 40%)では770℃前後であった。CO2分圧の高いガス化雰囲気ではCaCO3-K2CO3系の共晶により735℃から融液が発生し,これがクリンカ発生の主原因であることが明らかになった。 さらにこのDT温度域において,灰試料から気体の発生を伴う発泡現象が観察され,低粘度の融液も発生した。一方,ドイツで市販・流通しているペレットではクリンカトラブルが報告されていないが,その灰の酸化および還元雰囲気の灰のDTはいずれも1200℃以上であり,750~800℃の還元雰囲気での発泡現象は観察されなかった。

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© 2021 一般社団法人 日本エネルギー学会
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