日本エネルギー学会誌
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特集:JCREN Ⅲ(論文)
Heat and Mass Transfer of Impinging Jet Flow with Shower Head Flow on a Heated Disc in a Cylindrical Flow Channel
Fumika SATOSatoki ISHIDAYuuhei KAWASAKIMisaki HONDAKen-ichiro TANOUE
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2021 年 100 巻 12 号 p. 273-282

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抄録

本論文では,化学気相蒸着(CVD)装置におけるガス入口と加熱基板間の距離(HN*)およびノズルレイノルズ数(ReN)が熱流動に及ぼす影響を調査するために,衝突噴流をともなう円筒流路内の加熱基板上の水平断面における温度測定が行われた。さらに,CVD反応器内におけるr軸方向の成膜速度分布を予測するために,加熱基板上の熱および物質移動の二次元数値シミュレーションが行われた。HN*が小さいほど衝突噴流の影響が強まるため,r* = 0 mmにおける温度の実験値は低くなった。r 方向の温度の計算結果は,HN* = 0.69におけるr* = 0の場合を除き,実験結果とよく一致した。無次元の表面反応速度定数k*が3.60×10-9 k* ≦1.27×10-7k = 10-6 m/s)のとき,加熱基板上の原料の計算による成膜速度は,半径方向に沿った拡散律速で膜形成が進行する可能性があるため,r方向に沿って指数関数的に減少した。一方,基板中央部において,ノズルからの強制対流による物質移動が3.60×10-9 k* ≤ 1.27×10-7の場合よりも0.036 ≤ k* ≦ 0.126(k = 1 m/s)の場合の方が影響を受けやすく,成膜速度は大幅に減少した。HN*が大きくなるほど物質移動は表面反応律速に近づくことが考えられるため,0 ≤ r* ≤ 3.45におけるr 方向の成膜速度の勾配は小さくなる。HN*が大きく反応速度が小さくなるほど,成膜速度の変動係数は小さくなる。本研究では,成膜速度分布の変動係数の最小値は約0.41だった。したがって,衝突噴流だけでなくシャワーヘッド流からのCVD原料のハイブリッド供給システムが適切である可能性があることが示唆された。

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© 2021 The Japan Institute of Energy
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