日本エネルギー学会誌
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論文
海洋深層水の複合利用を考慮した海洋温度差発電の導入可能性
庭野 諒本藤 祐樹 森泉 由恵田原 聖隆
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2021 年 100 巻 7 号 p. 73-82

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抄録

本研究では,海洋深層水を複合利用した海洋温度差発電(OTEC)システムを対象に,国内の地域の自然・社会条件を考慮したライフサイクルCO2(LCCO2)削減コストを地域別に評価している。考慮した地域条件は,海洋気候,気候,地域の規模,使用電力,立地である。LCCO2削減コストは860 ~323,000[円/t-CO2]の幅を持ち,地域によって大きく異なる。LCCO2削減コストが30,000[円/t-CO2]以下になる地域は,沖縄県の中規模以上の離島,沖縄本島,九州の大規模離島,四国の大規模離島の一部であり,これらの地域でのOTEC導入が有望である。これらの地域のLCCO2削減コストが小さい理由は,第一に,低緯度であり発電量が大きいためである。第二に,低緯度または地域の規模が大きく,多くの冷熱需要を確保することが可能となり,複合利用の効果が大きいためである。

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© 2021 一般社団法人 日本エネルギー学会
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