日本エネルギー学会誌
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特集:JCRENⅠ(論文)
Impact of Increased Tire Pressure on Fuel Consumption and Environment for Fuel-Cell-Assisted Shared Bicycles
Emi HOSOBUCHI Chiharu MISAKINoboru KATAYAMAKiyoshi DOWAKI
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2021 年 100 巻 8 号 p. 116-121

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抄録

本研究では,燃料電池及び水素吸蔵合金カートリッジを搭載したアシスト自転車(H-bike)を用いたコミュニティサイクル(シェアサイクル)の導入に関し,次の2つの課題を検討した。1つ目は,発進・停止回数及び走行距離に起因する電力需要の課題,また2つ目は,従来のLi-ion電池自転車(E-bike)との比較時に生じる水素吸蔵合金カートリッジ利用による重量増加の課題である。これらの課題は,一般的にはアシスト自転車の性能低下に影響を及ぼすと推察されるが,本研究では自転車タイヤの空気圧を上昇させ,転がり抵抗を低下させることでその影響を低減できることを,実験的に確認した。車体荷重の増加,停止回数の増加及び移動距離の増加に対する,転がり抵抗の影響を評価し,電力需要が低減されること,また水素吸蔵合金カートリッジによる重量増加の影響を無視できることを示唆した。重荷なし,停止回数10回,約2 km走行の条件下において,タイヤの空気圧を2.00 kg/cm2から3.00 kg/cm2に増加させることで,消費電力量が15%以上削減されることが示され,停止回数が多く,走行距離が長いシェアサイクル環境下では,タイヤ圧上昇の効果が大きいことが分かった。また本研究では,バイオ水素の利用を1つの方策として掲げており,LCA手法を用いた環境影響評価を実施した。その結果,CMLモデルの影響領域である非生物資源枯渇性(ADP)と地球温暖化(GWP)について,それぞれE-bikeと比較して約10%,及び20%低い値を示した。

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© 2021 The Japan Institute of Energy
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