日本エネルギー学会誌
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論文
Effects of Activated-carbon-supported Nickel on Catalytic Transfer Hydrogenation of Cellulose to Hydrocarbons in a Straight-chain Aliphatic Hydrocarbon Solvent
Kentaro KIMURAYusuke KAKUTA Takeo ONOKiyofumi KURIHARA
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2022 年 101 巻 6 号 p. 95-107

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抄録

私達はセルロースからの炭化水素生成を目的とし,直鎖脂肪族炭化水素溶媒中におけるセルロースの接触水素化を検討してきた。 この炭化水素溶媒はアルコールのような水素供与性溶媒とは異なり,熱に対して安定であり,副反応を抑制する。また,溶媒とともに水素化触媒としてパラジウム活性炭(Pd/C)を用いることで,溶媒が保有する水素をセルロースから生成される含酸素化合物へ移行することが可能である。さらに,輸送燃料として使用できる化合物を溶媒としているため,セルロース由来の生成油(バイオオイル)との分離を必要としない。Pd/Cを使用すると高収率のバイオオイルが得られる一方,生成時のコスト上昇が避けられない。そのため,本論文では低コストの触媒選定のために,ニッケル活性炭(Ni/C) を使用したセルロースの接触水素化について検討した。Ni/Cを添加した溶媒中において,セルロースはC-O結合の切断が促進され,レボグルコサンや5-ヒドロキシメチルフルフラールが生成された。 また,Pd/Cと同様にNi/Cを使用することで溶媒からの水素移行が促進され,セルロース由来の炭化水素が生成された。ただし,反応温度400 °Cにおいて生成物は過分解し炭化水素ガスに,そして縮合により重質油に変換されたため,炭化水素収率が低下した。そのため,セルロース由来の炭化水素生成は反応温度350 °C付近で反応を行うことが好ましい。

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© 2022 The Japan Institute of Energy
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