日本エネルギー学会誌
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論文
業務用固体酸化物形燃料電池コージェネレーションの導入ポテンシャルの推計
阿部 良秋澤 淳 池上 貴志
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2024 年 103 巻 4 号 p. 25-33

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抄録

本研究では業務用固体酸化物形燃料電池(SOFC)に着目した。本研究の目的は,年間コスト最小化を目的関数とした最適化モデルを用いて,各種業務用建物に対するSOFCの導入可能性を地域性を踏まえて推計することである。8つの気候区分に対応してSOFCの最適導入台数を求めた。その結果,地域性の影響は小さいことが示された。次に対象とした各種業務用建物の自治体別床面積データをGISや統計資料から推定し,SOFCの導入ポテンシャルの地理的分布を導いた。さらに,投資回収年数に基づく顕在化率を考慮し,日本全体でのSOFCの導入可能性を推計した。その結果,SOFC単価が50万円/kW のとき,導入ポテンシャルは16 GW,顕在化率を考慮した導入可能量は5 GWと算出された。そこでは物販店舗への導入容量が5〜7割程度を占め,次いで病院,ホテルが多いと推計された。一次エネルギー消費量は220 PJ低減され,19%の削減が見込まれる。

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© 2024 一般社団法人 日本エネルギー学会
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