日本エネルギー学会誌
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直鎖パラフィンの化学量論的水素化分解 – バイオオイルからの航空燃料の基礎研究
村上 弥生 谷 春樹朝見 賢二藤元 薫
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2025 年 104 巻 2 号 p. 8-12

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抄録

油脂を原料とするバイオジェット燃料(SAF)の製造において,析出点-40℃以下等のASTM D7566の規格を満たすためには,異性化水素化分解反応が必須となる。そこで,筆者らはSAF製造を最終目的とし,高収率でジェット留分を取得できるよう,まずはn-ヘキサデカンに異性化水素化分解を施し,その生成物をGC/MSにて詳細に解析し,異性化反応および水素化分解反応の生成物選択性の挙動を検討した。その結果,ジェット留分に相当するイソパラフィンに富むC7-C12の炭化水素が60 ~75 wt%という高収率で得られていることが明らかとなった。その際に,C1,C2の炭化水素の生成に対してC14およびC15の炭化水素の生成が多いことがわかり,非化学量論的な分解現象が起きていた。また,生成物が単純化するn-ヘプタンやn-ペンタンの反応においてもこの非化学量論的な分解現象が起きていることが明らかとなった。筆者らはこの分解現象を解明することはできていないが,この分解現象にナフサ留分以下の生成物を製造せず,高収率でジェット留分を製造できる可能性を見出した。

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