日本エネルギー学会誌
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バイオマス資源作物の高位発熱量の推定と草種間差異
服部 育男上床 修弘我有 満加藤 直樹
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2015 年 94 巻 5 号 p. 510-514

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抄録

直接燃焼原料としての資源作物は発熱量が草種選択の指標のひとつとなる。高位発熱量(HHV)はカロリーメーターにより測定するが,育種や栽培法などの研究段階において得られる多くのサンプルの測定は困難である。そこで,本試験では直接燃焼でのエネルギー指標となるHHV について,推定法を検討するとともに,資源作物として期待される数草種について高位発熱量を調査した。供試材料は7草種8品種系統について,施肥として少肥,多肥の2処理を2反復で複数年栽培・収穫して得られたサンプル計165 点である。推定法の検討のため上記サンプルより均等に抽出した31 点について,カロリーメーター実測値と家畜飼料としての成分分画を因子とする推定値1,炭素含有量を因子とする推定値2を比較し適正な推定法を検討した。選定した推定法を用い,全てのサンプルのHHV を推定し,草種ごとの特性を検討した。実測値と両推定値の間には有意な相関が認められた。実測値と推定値1には有意な差がなく,実測値と推定値2には有意な差が認められた。したがって,草本系の資源作物のHHV推定には推定式1が適していると考えられた。全サンプルの推定HHVの平均値は18.1 MJ/kg-dry,標準偏差は0.29 MJ/kg-dryであった。草種・品種,施肥処理について分散分析を行ったところ,草種・品種間にのみ差が認められた。以上より,草本系資源作物のHHVは成分分析値による推定によって比較的簡易に推定できることが明らかとなった。また,草本類の中でもHHVには差があり,利用草種の選択においては乾物量のほか,HHVも考慮することが望ましいと考えられた。

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© 2015 一般社団法人 日本エネルギー学会
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