2016 年 95 巻 12 号 p. 1115-1124
実験室規模の流動層反応器を用い,カルシウムルーピングCO2分離プロセス(CaL)の吸収器条件で,チャーが存在するときのCaO上におけるNOXとN2Oの反応経路を検討した。流動媒体として焼成石灰石(CaO)と不活性な石英砂を用いた。吸収器へのチャー流入を模擬するために流動層へチャーを投入した。砂層の場合,チャー投入で供給ガス中のNOとN2Oがわずかに減少したが,かなりのCOが生成した。NOをCaO層に供給したところ,CaO上にNOが吸着した。この吸着NOはチャーまたはCO2の供給により脱着した。CaO層の場合も,チャー供給によりNOは減少したが,その程度は砂層の場合と同じであり,チャーによるNOの還元だけが起こったと考えられる。CaO層の場合ではチャー酸化時のCO生成は砂層の場合よりかなり少なく,COはNOを還元する以前にCaO上で酸化されたと考えられる。CaOはN2O分解活性があった。CaLはCO2分離に加えて,N2O分解機能がありCO生成が少ない,多機能のプロセスになることが期待される。