日本エネルギー学会誌
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論文
重質油の減圧留分および残渣油の表面張力の測定および推算
武川 湧一辻村 将山際 幸士郎久保 正樹塚田 隆夫寺谷 彰悟
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2016 年 95 巻 12 号 p. 1142-1148

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抄録

重質油の表面張力およびその温度依存性が,常圧および30 ~250℃の温度範囲でペンダント・ドロップ法により測定された。ここで,表面張力は,ノズル(1/16 inch径のSUS製管)先端に懸垂した試料液滴形状にYoung-Laplace式の数値解をフィッティングすることにより求めた。試料には,中東系常圧残渣油およびビチューメンを減圧蒸留により分画した数種類の留分および減圧残渣油を使用した。いずれの試料の表面張力も温度に対して負の線形依存性を示した。また,各試料をそれぞれカラムクロマトグラフィーにより分画し,試料の構成成分と表面張力を比較した結果,飽和炭化水素分が少なく,芳香族分が多い留分ほど表面張力は大きいことがわかった。加えて,対応状態原理に基づく推算法により中東系常圧残渣油の各留分及び減圧残渣油の表面張力の推算を試みた。結果として,留分の表面張力は良好に推算できたが,残渣油に関しては測定値を大きく過小評価することがわかった。

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© 2016 一般社団法人 日本エネルギー学会
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