2017 年 96 巻 10 号 p. 430-435
以前報告した粗バイオディーゼル燃料(BDF)から残留メタノールを取り除く窒素ガス放散の原理(Yamane et al., Eur. J. Lipid Sci. Technol., 115, 1183-1192(2013))に基づいて,スケールアップの研究のために仕込み容量が5 Lと25 Lである2つの規模のガス放散装置を製作した。スケールアップの指標として,(窒素ガス通気量)/(粗BDF の容積)であるQ/Vは,3つの指標(Q/V(,エアーポンプの動力)/(粗BDFの容積)であるPg/V,および線速度u = Q/(装置断面積)の中で最も相関が良かった。2つのガス放散装置の総消費電力量Ptotalに影響を及ぼす3つの項目について測定した。25 Lガス放散装置でQ/V = 1.5 [1/min]であるとき,Ptotal/Vはおよそ0.1 [kWh/L] であった。安価で簡潔な精製工程として,窒素によって残留メタノールを徹底的に除去するガス放散装置の次にろ過助剤の助けによるろ過とで構成される精製工程を提案した。