日本エネルギー学会誌
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論文
石炭の指標を適用した緑茶の半炭化特性評価
田上 奈実中館 朋江水野 諭井田 民男
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2018 年 97 巻 1 号 p. 1-7

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抄録

本論文は,石炭の指標が半炭化バイオマスの特性を示す指標として適用可能であるか検討することを目的とする。石炭の指標は,燃焼性を示す燃料比と石炭化度を示すコールバンド(van Krevelen diagram)を用いた。原料に緑茶を用い,半炭化処理温度の異なる半炭化バイオマスを作成し,それらの燃料比およびコールバンドによる化学組成変化について調査した結果,次のような知見を得た。緑茶を原料とした半炭化バイオマスは,293 K ≦Tb ≦640 Kにおいて,燃料比0.38-2.07を得た。重量収率と燃料比の間には0.38 ≦F.R ≦0.65,0.65<F.Rの範囲において,負の相関関係が認められ,F.R = 0.65において屈曲点が存在し,屈曲点を境に熱分解により放出される揮発成分が異なることが示唆された。コールバンドを適用することにより,半炭化過程における化学変化を推定することができるが,脱カルボキシル,脱カルボニル反応による酸素の放出と脱メタン,脱水素反応による水素の放出が同時に生じる場合においては,コールバンドのみで各反応を決定することは困難であることがわかった。

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© 2018 一般社団法人 日本エネルギー学会
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